今日は弐瓶勉
『BLAME!』。1997-2003『月刊アフタヌーン』連載。
時代も場所も明らかでない超未来。 世界は高度に発達したネットワーク(ソフトウェア)と、それを支え、現実世界に反映する超構造体(ハードウェア)によって構成されている。テクノロジーの恩恵を受けて繁栄した人類であるが、災厄によりネットワークにアクセスする資格と能力(市民権と同義)を失ってしまう。 支配者がいないAIは管理規定にのっとり資格を持たない人間を排斥し続ける。人々は繁栄の記憶を忘れ、管理システムの目を盗むようにして短い生を生きる。人類の黄昏の世界が舞台である。(以上ウィキペディアより引用)
暴走する「建設者」によって、現在も肥大化を続けている巨大建造物の階層の中を探索者霧亥(キリイ)は放浪し続けている。手にする武器は「重力子放射線射出装置」。いかなる物も破壊できる最強兵器だ。彼は「感染」によって、変異する前の遺伝子「ネット端末遺伝子」を求めて、階層から階層を渡り歩いているのだ。はたして、「ネット端末遺伝子」は見つかるのだろうか?
サイバーパンクSFです。まず、この言葉に反応してしまう人は読むべし!個人的な見解ですが、ブルース・スタリングの『スキズ・マトリックス』や大原まり子の『ハイブリッド・チャイルド』が好きな人にはこの世界観がマッチすると思います。人類がサイバネティクス技術を発展させすぎたために起こる人類の変容と異進化。異論もあるでしょうが、この
禍々しさこそサイバーパンクだと個人的には思います。
この物語はそんなサイバーパンクジャンルへの知識をある程度深めてないと読めない部分が多々あります。上に記したような世界観への説明などまったくなく、登場人物たちの台詞と絵によって、読者が読み取らなければなりません。しかし、逆にいえばサイバーパンク初心者にとっては謎がたくさん隠された
まったく既視感のない新しい世界に衝撃を受けること間違いなしでしょう。
そして、このマンガのもう一つの骨子アクション・シーン。重力子放射線射出装置という最強兵器を使って、敵を撃破していくキリイのその様に爽快感を覚えること間違いなしです。セーフ・ガードや珪素生物などの敵も霧亥も基本的には普通の人間の肉体を超越している存在なので、アクション・シーンは『マトリックス』や『攻殻機動隊』などの他のサイバーパンクSFと同様に、けっこう派手で真にSFアクションと呼べるできになっております。
知的興奮とアクションによる興奮が同時に味わえる傑作SFです。
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