久々に読みました。高校生の時から、何度も取り出しては読み返す作品です。
一般的にはSFというジャンルとされているこの作品。
異種生物との単純な格闘・サバイバルがいわゆるSF(空想科学的な物語)であるのかという疑問が常にあります。世の中には、次から次へとそんな底の浅い作品が氾濫していく中、マスターピースとして残っているのがこの作品です。
名作の条件とは何か。幾つかそれはあると思いますが、僕の場合、それは何度読んでも鑑賞に耐え得ると同時に、その度に年輪を加えた自分にとって何かしらの発見をもたらすということでしょう。
寄生生物との戦いというと、無数に先行作品もあると思うのですが(ハインラインの『人形つかい』がその代表格でしょうか)、小説でも成し得なかったようなテーマの完成度がこの作品を名作たらしめているのです。
そういう意味でいえば、単純に世にいうサイエンスなフィクションであるのは当然のこと、この作品は一頃叫ばれたスペキュレイティブな(思弁的)フィクションなのでしょう。
寄生生物の非人間性を通して、「人間とは何か?」そして「自然(純粋な意味での)との関わり合いとは?」、最終的には「生命とは?」という巨大なテーマに挑んでいく。最終巻の台詞の一つ一つに宿る神聖な雰囲気は、そのまま作者の作品にかける真摯さの現れなのでしょう。
今後、同系統のフィクションで、この作品を超えるものは現れない。そこまで考え尽くし、やり尽くしたという読後感でした。
最後のページは地球の大写しに、
何かに寄りそい・・・・・・ やがて生命が終わるまで ・・・・・・・・・・・・どの漫画がこんなスケールとこんな台詞で終われるでしょうか。
当然ながら、娯楽作品としても一級品で、ハンデを持ちつつも、それを強みに変えて戦っていく新一とミギーのコンビの戦いには胸を震わせます。そして、最後の後藤との戦いなどは、カットの一つ一つ、言葉の一つ一つが読まずとも脳裏に刻み込まれています。
と、語ろうと思えば、際限なく言葉がでてきます。いつまでも語り続けたいというのも、名作の条件の一つですが、本日はこの辺で。いやあ、何度読んでもすばらしい作品!
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