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モラトリアム

   

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棺に入れてもらいたい 佐々木倫子『動物のお医者さん』

ad61de55.jpg 今日は佐々木倫子『動物のお医者さん』。1987-1993年『花とゆめ』連載。

 大学受験を控えていた西根公輝(ハムテル)は友人二階堂と帰宅中、近道の大学構内の中で般若のような顔の犬を発見する。アフリカ人の扮装をした怪しい教授にその犬を押し付けられるはめになり、さらにこういった予言をされることとなる。「ワタシにはキミの未来が見える キミは将来 獣医になる」。
 H大に受かったハムテルは教授の予言どおり二階堂と共に獣医学部に進むことになる。そして、動物のお医者さんを目指す人々の楽しい日常が始まる・・・・・・。

 佐々木倫子の不朽の名作。般若のような顔だけど、心優しいシベリアンハスキーの女の子チョビ。狩猟本能が災いして時々大変な目に会う姉御肌のミケ。西根家の生態系の頂点に君臨する白色レグホン(ニワトリ)のヒヨちゃん。なにも考えていないスナネズミ。その他、ヤギ、ウマ、ブタ、モモンガ、カンガルー、ウシガエルなど、たくさんの個性的な動物が大活躍。
 ヒトの方も負けず劣らず個性的。アフリカ好きで常にトラブルを撒き散らす(しるこばくだん等)漆原教授、ヒトの生態をはなはだしく逸脱している菱沼さん、ネズミ嫌いなあまりネズミという単語を聞くことさえ拒否する二階堂、馬の直腸検査で直腸まで手が届かず頭も突っ込めといわれた小柄な阿波野、健康診断の血液検査に飼い犬の血を提出した清原などなど面白い人物が続々登場。
 大学というモラトリアム期間の気楽さと、恋愛やバトルなどと無縁なストーリーから、現実生活からの逃避場所として正にうってつけの作品。文庫版あとがきで竹熊氏が指摘しているように、「H大学という名のユートピア」を一度知ってしまうと抜け出すことが非常に難しく、このマンガを初めて読んでから十年経った今でも本棚にきちんと並べてあります。
 基本的な話の流れは物語の初めにささいな謎が提示され、そこから真相へたどり着き、著者のナレーションで終わるという形。きちんとした物語展開、そして物語が終焉したあとのフォローがなされている。何度読んでもボロが出ず、各話が完璧な小宇宙として存在している。その実在感こそがこの物語のすごさのような気がします。
 設定や登場人物の関係性のお気楽さ。そして、わかりやすく面白い物語展開。読者にストレスをまったく感じさせないこの世界は心のヒーリング要員としてこれからも僕を癒し続けてくれるでしょう。僕が死んだとき、一緒に棺に入れて葬ってほしい一品。
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