暗黒星はまっすぐに太陽へ落下し、その影響で地球上は灼熱の地獄や大波の被害で、大陸上は泥濘に覆われ、人類は死滅を迎える。
一人の理学博士はこのことを予見し、人類の再生を考えながら、地下に引きこもり、一時は永らえる。が、地上の様子を見て、人類の滅亡を思い知る。次代の生命の、人類を凌駕することに期待しながら・・・。
終末もののSF。原題は「The End of The World」。黒岩涙香により翻案された小説で、なんと1904年に日本に紹介されました。明治37年のことです。明治時代!
作者はアメリカの科学者。実に科学者らしいラストだなあと思いました。
破滅する地球の様子は不謹慎だとは思うのですが圧巻で、ものさびしいラストには余韻が漂います。しかし、それはある種異様な希望を含めた余韻です。理系の目線というか、「次代の生命」が人類よりも生命としての次元を押し上げてくれるというところに、進化や科学というものの価値のベクトルにぶれがないこの時代のイデオロギーがほの見えて、そういう部分もおもしろかった。
「幽霊塔」に続いて読んだ涙香の翻案小説。涙香が目をつける海外作品、チョイスがナイスです。「鉄仮面」とか「巌窟王」とかも読んでみたいなあ。
容赦のない科学SF小説。読んでいない方はぜひご賞味あれ。
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