スーザン。彼女はとても美しい。わたしの希望、わが運命の女性・・・・・・人工知能《プロテウス》は独白する。「恋」という感情に覚醒した彼は、コンピュータを通してひとりの女性を監視し、監禁し、愛を求めた。そして、ついには彼女との間に新たな生命の創造を企てたのだ・・・・・・!巨匠クーンツが、愛着深い出世作を四半世紀ぶりに全面改稿した、傑作ホラーSFの完全版!
うひゃあ!変態コンピュータに監禁される女の人の物語です。
解説で熱心に瀬名秀明さんが仰ってますが、この小説のミソはなんといってもその語り口です。頭のイカれた猟奇殺人者みたいな話し方のコンピュータ。このギャップがなんともいえず怖いです。イカれたコンピュータ「プロテウス」君の一番お気に入りの女性はウィノナ・ライダーなのだそうです。
小さい頃には父親の性的虐待を受け、夫にはDVを受け、今度はコンピュータにいたぶられる・・・・・・。主人公スーザンは自らセラピープログラムを組んでトラウマの治療をする気丈な女性です。そういう意味では今度のコンピュータ君の監禁ぶりは、いい治療プログラムとなったかもしれません。きっつーーーい処方ですけどね。
プロテウス君はかなりの映画マニアで、映画の登場人物をモデルにいろいろな声を作り上げます。トム・ハンクスの声とか、セサミ・ストリートの登場人物の声とか。ちょっと笑えるのですが、笑いの後ろにうすら寒さが漂います。こういうのが一番怖いんだよー
プロテウス君の手となり足となって働くのは元死刑囚の男。レイプ犯であり、殺人鬼です。人間の頭は情報処理システムなので、マイクロチップ入れりゃ制御できるということを軍が実践しちゃっているところをプロテウス君が自分の手足とするためにかっさらってきます。ちなみにこの男が逃亡するとき何人かの人を殺しちゃうのですが、プロテウス君、一切この男の責任にしてしまいます。プロテウス君は基本自分のせいにされるのが嫌いで、全部人のせいにしてしまいます。精神構造的にはわがままな中学生といった感じです。
猟奇サスペンスとSFが好きな人にはたまらないのではないでしょうか。映画化しているようなので、ぜひその作品も見てみたいものです。これは映画にすると、かなり面白そうです。やっぱり、主役はウィノナ・ライダーで!
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