SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。
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☆星新一「解放の時代」
目をさまし、男は出かけようとするが・・・・・・。
最高です。下ネタではなく、ナンセンスな味が勝る作品。
○広瀬正「もの」
学者たちはその「もの」を前に、議論を交わしていた。そいつの正体は?
ショートショート。これもナンセンスな味がします。
◎半村良「H氏のSF」
酒場で私とH氏はバーのマダムにわかるようSFを男女関係で説明し始めた。
こういう下がかった話でも全然いやらしく感じないのがSFのいいところ。仮想を追及していくと笑いにつながるということがよくわかります。
◎眉村卓「わがパキーネ」
留学生のホームステイを受け入れることで貰えるお金を目当てに、異星のユーカロ族の女性パキーネと同居することになった「私」。しかし、ユーカロ族は青白い皮膚にたるんだ皮膚の嫌悪感を催す外形だった。
愛です。パキーネが去った後の、苦悩がいい感じに心に響きますね。恋愛は一種幻想であるというようなところも、なんだか好きです。
○手塚治虫「よろめき動物記」
子どもが飼っているそいつの正体は・・・・・・。
残酷なオチ。でも笑ってしまう。世間に流通する手塚像とは違う作品でしょう。
◎筒井康隆「色眼鏡の狂詩曲」
ある日、江藤典磨から電話がかかってきて、おもしろいものがあるから来いと言う。江藤はカリフォルニア在住の一SFファンから送られてきた日本をテーマにしたSFをおれに見せる。それは奇妙奇天烈な小説であった。
最近、おかしな日本としてロシアにおける日本文化などを取上げているテレビ番組をよく見ますが、ああ繰り返しで見せられては面白くない。けれど、この小説のように現実を超えた虚構の世界で表現してくれれば、そのトンデモなさにいつまでも笑える。素晴らしい作品。
○豊田有恒「渡り廊下」
久しぶりに会う昔の疎開先の友人に「私」は不思議なことを聞く。ある時期になると、決まってどこからともなく赤ん坊の泣き声が聞えてくるというのだ。
語り口の静かなホラー。最後にSF仕掛け。
○石原藤夫「ハイウェイ惑星」
『惑星開発コンサルタント社』の社員ヒノとシオダが遺跡調査のためにやってきた惑星は無数の道路が走る奇妙な星だった。調査用ヘリの着陸に失敗した二人はどうにかして宇宙船にたどり着こうとするのだが・・・。
惑星の環境に適応した生物が、想像すると可愛いです。ヒノとシオダの掛け合いもなかなか楽しいです。
○山野浩一『X電車で行こう』
未確認移動性放電非物質―――平たくいえば「幽霊電車」がある日突然、東京中のレールの上を我物顔に走り出した。
たしかに文体や、キャラクターの描き方などはうまいんだけど、ちょっと鼻につく部分もあるかなあ。話自体はたいしたことないけれど、主人公のキャラクターがいいと思います。
○小松左京『終りなき負債』
祖父の購入した品物のおかげで、毎月莫大な負債を取り立てられる主人公。しかし、祖父の購入したものにはある秘密が・・・・・・。
読み返してみると、そう悪いような作品じゃないような気がしてきました。でも、個人的にはもっと面白い作品がいっぱいあるように思えます。
○平井和正『レオノーラ』
誤解で集団リンチされたケンは、人間恐怖症になった。妹のジュリは彼女のいない間のケンの世話をアンドロイドに託すが・・・・・・。
平井和正調全開。そんなに白人が嫌いなのか?高校生の時、ウルフ・ガイシリーズを読んだときも、その白人嫌いに驚いたもんだけど、これは逆に白人への迫害視というか、差別視につながらないのだろうか?まあ、話自体は面白いんですが。
○河野典生「機関車、草原に」
キャムプの補導員木村は高田五二郎という老人をさがしに、故郷へ帰ってきた。そこで、彼はある計画をきくことに・・・・・・。
なんだか、牧歌的な雰囲気もする作品です。機関車というのは郷愁を呼び起こすもののようですが、僕は親がSLマニアで、うんざりするほど見ているので、機関車が潜在的に嫌いです。それでも、機関車が走る様子は感動的ですし、ラストには心に響くものがありました。
○光瀬龍『幹線水路2061年』
サバクに作られたタリム内海。東幹線水路監視事務所に勤める者たちは、朝から「水が来ない」という連絡でおおわらわ。しかし、計器は異常なしを示しているのだ。
水がどうどうと別の時間に流れているというのは、昔、ゲームボーイソフトの『サガ3』というソフトで、「水がめ」と呼ばれるもののために、世界が水没しかけているという設定を思い出しました。そういえば、この「サガ3」過去や未来に旅をして、神々をやっつけていくというタイムトラベル作品でした。と、いうのは置いといて未来世界での荒廃した風景が美しいです。
?荒巻義雄「大いなる正午」
?
わかりません。ニーチェを読んでないとわからないようです。
総評:ベストは星新一「解放の時代」。ナンセンスの極地です。「色眼鏡の狂詩曲」は福島正実しがお気に入りだったようです。「解説」は当時の雰囲気のわかるもので、筒井康隆全集には入っていない文章です。既読も多かったので、この解説が小説以上に面白かったです。「大いなる正午」は目が点になりました。
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