いい。
シオダとヒノが活躍する惑星シリーズの一篇。
ハイウェイに一定時間いると大量の水で原生林に押し流されてしまいます。どうやらハイウェイに乗っているためには、ある程度の速度が必要らしいのです。そのとき、ヒノたちの前を一台の四輪車が通ります。どうやら、この星の生物らしい。爬虫類生物の足には四輪がついており、どうやらそれが独立した生物のようなのです。この四輪生物を利用して、宇宙船に帰りつけないものか・・・・・・と二人は思案するのですが、いかに?という
問題解決型の展開にワクワク。さあ、どうする!
生物登場以前に道路だけが、ドーンとあった世界。その環境下で生物がどのように進化していったのか。そういう思考実験に、いちいち理屈っぽいシオダの考察にふむふむとうなずきながら読むところに、知的好奇心を刺激するSFならではの面白さがあると思います。
直球の空想科学小説。
当初は、爬虫類生物に乗っかって、ハイウェイを行く予定だった二人。しかし、重量超過で車輪が外れてしまう。そこで大型爬虫類に乗って、距離を稼ぐことに成功。その間にも円形の飛翔体や大型車輪生物などを見ながら、進化や生態についての議論がなされるのです。うーん、飽きさせない。
しかも、途中の急坂で大型車のスピードが落ち始める。スピードが落ちると水に押し流されてしまう。二人は道路を必死で走り始めるのです。その二人の背後から大量の車輪軍が走行。車輪に激突された二人は偶然生まれたばかりの車輪生物と取り残されてしまう。そして、動けなくなった彼らは
手足に車輪をはめた姿となって、ハイウェイを疾駆するのだ。わー!
恐ろしいことに、車輪生物は寄生した生物を
電気ショックで動かないように制御し、血を吸ってエネルギーとしているらしいのです。このまま血を吸われ続けると死んでしまう。二人はどうにかして逃れようと策を練るのですが・・・・・・。最後はあっけない解決をみます。
全般的にコミカルな展開で、はしばしに挟まれるギャグも多く、ラストのオチのつけかたは落語そのものです。車輪生物は腸であり、ヒノは「万事
ハラ芸だったのか!」と驚いたりするところなど、さまざまなくすぐりがたまりません。
ハードなところもソフトなところもある、まさに空想科学小説。
読みごたえたっぷりです。
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