伊藤典夫『破滅への招待』
破滅SFの紹介。バラードの『燃える世界』読んでみたい。ファーマーの恋人たちは近日読む予定。終末ものと破滅ものを僕は混同してますが、微妙に違うんですかねえ?
◎
筒井康隆『堕地獄仏法』
恍瞑党は衆参両院を通じて第一党となり、総花学会は文字通り日本を掌握した。学会員にあらざれば人にあらずということが、社会通念でなく立法化さえされようとしていた。そして地獄が始まった!
でたー!例の宗教団体を笑い飛ばす快作(怪作?)。同じ号には斉藤守弘の言及もあるのですが、確かに『堕地獄日記』にあるように、「かわいいもの」です。学会の概要を知っていれば、かなり楽しめる作品だと思います。『末世法華経』という作品もあるのですが、こちらも笑えます。
○
眉村卓『破局』
そのとき、地軸の傾斜度がかわり、天変地異が地球をおおっておこるだろう。山は崩れ、津浪は陸を洗い、やがて一片の陸地もあまさず海に沈むだろう―――宇宙救済協会は声をからしてさけんでいた・・・
こちらもパニック小説なのかもしれませんが、筒井さんの作品を読んだあとでは、ちょっと印象が薄れてしまった感じ。
△
光瀬龍『ヴェトナムとハルコの間』
ハノイの空高く、五彩のキノコ雲がせりあがっていった―――それは悪夢の中の光景のように非現実的だった―――だが、何が現実で何が非現実か、ほんとうは誰にもわかりはしないのかもしれないのだ・・・
うーん、微妙な感じです。ちょっと、ラストのつなげ方が納得いかないような気がします。
○
矢野徹『海月状菌汚染』
北海道千歳の、航空自衛隊の歩哨が、狂犬におそわれ、咬まれた。それは一連の狂犬騒ぎの始まりにすぎなかった!
『ゾンビ』のようなお話かな?おかしくなった人間の彷徨するさまが、いつもながらに好き。
○
小松左京『本邦東西朝縁起覚書』
吉野山中カクシ平に、突如として南朝の後裔第一〇二代天皇の位を要求して立つ!最初は誰も、時代錯誤的なヘタな洒落としか思わなかった―――菊花の紋をつけた飛車飛船が頭上を飛び交うまでは!
面白い。ただ、歴史に詳しくないから、そのへんの細かさがイマイチわからなくて苦しんだ。もうちょっと勉強していたら、もっと楽しめたかもしれない。
△
福島正実『JJJ』
みずからKKK団員だと名乗ったその白人は、樋口に暴行を加えようとした黒人とその連れの白人女を、無造作に射殺した!
うーん、微妙。なんか、ちょっと不快な感じすらする。
星新一選『パイロットショートショート』
なかなか楽しい。
斉藤守弘『20世紀宗教戦争』
よかった。守弘さんは別に信者ではなかったのか。ただ、信心が自己暗示で、生活をよくしていくというところが、人びとのためになるということですね。
北川幸比古『ルポルタージュ 逃げだしたエスパー・ドッグ』
エスパー犬を調査。後半に筒井さん登場。
スクリーンが創った世界の破滅とモンスター!
巨大蟻、巨大蜘蛛、怪獣・・・・・・大好きだ!
草下英明『クザコフ放談 ヘンな話の種』
巨人のお話とか、カッパのお話とかなかなか楽しいものがあります。
石川喬司『架空レポート ダービー異聞』
馬の名前がコマツオーとか、いろいろパロっていて楽しいです。
浜口和夫『架空レポート 結婚エージェント』
まーだ、こんな風にはなっていませんが、たしかにお見合いサークルみたいなのは存在しますねえ。
平井和正『架空レポート マンモス団地』
かなり筒井さんを意識しているらしく、ほかの作家より、筒井さんの名前がよく登場します。『精神病院ルポ』にかなりショックを受けている様子。最後はSFに。
総評:ベストは『堕地獄仏法』。巻頭に来ているところとか、かなり筒井さんをプッシュしていることがわかります。全体的には、面白みにかけるかなあという感じがします。光瀬さんはこういうのは不得意分野かなあと思いました。福島さんのは思想性が出すぎて、ちょっと重過ぎる。
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