野田宏一郎『SF実験室③月人冒険譚』
月をテーマにした小説の紹介。
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ジョン・ウインダム『同情回路』
同情回路は画期的な発明だった。従来の無感動なロボットにこれをつければ、人間に対する同情心が湧いてくるのだ・・・
うーん、微妙にこわいですね。こういう若者言葉を使うのはよくないことかもしれませんが、微妙なものは微妙なので。
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ジェームズ・E・ガン『女嫌い』
男と女がもとは違った種族だったという話を聞いたことがありますか?馬鹿馬鹿しいって?それじゃ本篇をどうぞ!
これはこわいですね。男と女が別種族。たしかにそう思うときがないこともありません。
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ジュディス・メリル『のぞき屋トム』
東洋の老人から習いおぼえてきたテレパシーは、しかし彼に不幸しかもたらさなかった。どの女も心の醜悪なのが判ってしまうのだ・・・
オチはもう読めてしまうのですが、まあ、かっちりした物語で、その点では巧いと思います。女の人が書く男っていうのは、どうして、こうも・・・・・・。ブツブツ。
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H・B・ファイフ『保護種族』
宇宙に足を進めた人類は新しい哲学が必要になる。たとえば、ヒューマニズムにのっとったつもりの保護政策も・・・
なかなか面白い。オチも衝撃的ではなくある程度読めるのですが、そのベタ感が逆に「SF読んでる」という気持ちにさせてくれます。
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イリヤ・ワルシャフスキー『憂慮すべき徴候なし』
記憶転換手術は未来を啓く医学の大成果の一つだった。疲れた頭脳を休ませて、新しい活力を賦与できるのだ。しかし・・・
悲しいね。いまいち記憶の脱落とかに、疑問が残ってしまうので、こういうお話はクビをひねってしまうのですが。
◎
セーウェル・ガンソフスキー『接点』
少年は驚いた。水中にただよう死人は、明らかに生きて呼吸をしていたのだ!ソビエトSF界の新人がものす異色篇!
作品もなかなか面白いですが、こういう少年が語るものが大好きなので。ジュブナイルものみたいな展開、内気な少年の心の動きなどが、いい作品です。
大伴昌司『トータル・スコープ』
東宝の『四谷怪談』。仲代達也、やはりかっこいいなあ。
伊藤典夫『SFスキャナー』
ハインライン『ファーナムの自由保有権』の紹介。
さいえんす・とぴっくす
ポータブルの人口肺(英) 本当にこれあるのかなあ。
草下英明『SF宇宙生物学講座 宇宙は生命に満ちている』
シリコニイなど、いろいろな型の生物の可能性の紹介。
特別インタビュウ『ストルガツキー会見記』
アルカーディのほうのインタビュウ。ソビエトのSFの傾向は1エンターテイメント2教育的SF3社会的なSFということになっているそうです。
SF DETECTOR
クラークの『渇きの海』訳出。ハヤカワSFででていたので、新刊書店で買わないとなあ。
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眉村卓『惑星総長』
申し分ない温暖な時候と豊富な資源に恵まれながらその惑星にはなぜか文明がけっして育たなかった!
うーん、面白いのだけれど、途中の焼き討ちなど、ちょっと・・・・・・という部分もあるなあ。
小松左京『果しなき流れの果に』
とばしました。
◎
クリフォード・D・シマック『ハウ‐2』
大枚250ドルを投じた犬の組立セットが、1万ドルもするロボットとすりかわっていた。それからトラブルが始まった!
ロボットを産み出すロボットの登場。そのユーモアある描写と、やはり裁判での応酬が楽しい作品。自宅を要塞化してしまうところも、好き。人間くさいロボットって、やっぱりおかしみがあるなあ。
総評:ベストは『ハウ‐2』。シマックのあたたかさがなんだか好きです。今月号はなかなか楽しい作品が多かったような気がします。
人気カウンター順位①黒い悪魔②果しなき流れの果に③ソンブレロ④月は死⑤未来を見た男 うーん、この号も読んでないからわからない。
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