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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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SF読もうぜ(304) 『S‐Fマガジン』1967年2月号 七周年記念特別増大号

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1967年2月号


巻頭言

 七年目。「未来」というものが注目され始めているとのお話。真面目です。

野田宏一郎「古本への異常な愛情 またはなぜ恋も栄誉も諦めてSF古本集めを愛するようになったか」

 SF本のコレクターになったきっかけから、自分が死んだらコレクションを禿鷹どもが狙いに来る!などといった冗談まで書かれています。野田昌宏文庫はこちら

光瀬龍「シンシア遊水池2450年」

 サイボーグの職域拡大反対運動が巻き起こる中起きたシンシア遊水池でのサイボーグ殺害事件。犯人ははたして普通人か、それともサイボーグか?

 設定は2450年なのですが、「宇宙への夢もいいけれども、それでは女は不幸になるだけだわ」というセリフが出てきて、そのミスマッチ感が非常にいいです。これが古くなってしまうのか、それとも男女の観念は変わっていくのか・・・・・・。でもフェミニストが見たら怒りそうな気もしないでもないです。

星新一「戦う人」

 あるひとりの老人がアパートの一室で自殺をしようとしていた。平和なこの時代に絶望して・・・・・・。

 闘いこそが我が命。世界を転々として、戦争に参加していた老人。彼を賞賛してくれるものはいない。シニカルな文明批評家としての面が色濃く出た作品であり、ブラックなラストがいい味をだしています。初めて「ボッコちゃん」を読んだときのことを思い出しました。これこそ、星新一。

小松左京「極冠作戦」

 月人のコミュニケーター「ぼく」は、その極秘作戦のために海上移動都市の首脳を説き伏せなければならなかった。温暖化のために七分の六が海中に没してしまったこの地球を冷やすために。

 二酸化炭素の増大のため地球温暖化により、平野は海に没し、山々が島になり、都市は原子力により海上を高速移動する世界。そのダイナミックな未来世界にやられました。しかし、作戦を中心には置かず、スパイとの戦いや若い世代の台頭などに話がずれていって、よくも悪くも小松左京らしさが出ているなあと思いました。

石原藤夫「天使の星」

 宇宙人の存在を求め太陽系外に旅立った調査隊員たち。ヤモトはエリダヌス系イプシロン星系に宇宙人を発見したが、その姿は天使に酷似していた。

 うーん、ヤモトの体験談を別の隊員が科学的なフォローをするという形式なのですが、解説や説明が長すぎて少し好きになれなかった。でも、頭がポーンと上空に飛び上がる様子がファンキーで好きです。

眉村卓「工事中止命令」

 パイオニア・サービスの無任所要員である「ぼく」は、R国の要請で行われている都市工事の中止命令を持って旅立った。しかし、密林地帯の現場にいたのは作業の完遂の妨害には耳を貸さないロボット。中止命令ですら妨害と見なされて・・・・・・。

 会社の利益が第一。経済が協力な力を持つ社会を描く作者らしい作品ですが、ロボットとの知恵比べを期待した僕には解決の方法がなんだかなあという感じでした。あの大友克洋がアニメ化しているのだそうですが、どんな作品になっているんだろう?

真鍋博「絵で見る20年後の日本」

 星新一ファンにはおなじみの真鍋博氏の描く20年後の日本。ということは、1987年の姿ということになります。九州には冷房道路ができているのですが、そんな道路があったらほしいです。自動運転高速道路なんてのもあって、帰省ラッシュなんてない世界なんでしょうか。いいなあ。

伊藤典夫「SFスキャナー」

 イギリスSFの紹介。E・C・タブの『月基地』Moon Base、ジョン・ブラナー『混沌を征服するために』To Conquer Chaosが中心。

石川喬司「SFでてくたあ」

 66年のまとめ。①日本SFの海外進出②未来論の流行③スペースオペラの復活④同人誌の激増⑤視覚文化の浸透 だそうです。

さいえんすとぴっくす

 世界最小のIC開発(米)の記事。IBMが開発しています。さすが。また、研究進む電気自動車(米)の記事もあり。いつガソリン車にとってかわるのかなあ?

岡俊雄・石川喬司・矢野徹・大伴昌司・福島正実「日本SF映画をどうするか」

 日本のSF映画をどうすべきかというお話です。海外SFの質の高さに対して、SFはどうせジャリものだという意識が日本映画界にはあると指摘しています。そのための怪獣映画の粗製乱造に対して嘆いています。ちなみにリストの中で見たことがあるのは、『博士の異常な愛情』『ゴジラ』『ゴジラ対キングコング』の三本だけです。

日下実男「うるとら世界周航記」

 「④洋上の一日」です。優雅な旅だ。

大伴昌司「トータル・スコープ」

 『2001年宇宙の旅』が今夏公開予定。そのスチール写真というか、美術絵がいくつか載っています。美術監督の依頼が手塚治虫に来たとの秘話を語っておられます。

平井和正「アンドロイドお雪」

 夢想剤売人の老人に頼まれて引き継いだ遺産――それは精巧な女性アンドロイドだった。刑事である野坂はいやいやながらそのアンドロイドと同居をするが・・・・・・。

 うーん、よかった。特にラストはこちらも油断していたのでやられた感じ。途中で野坂がやつれていく様子が怪談めいていい。頭の中ではなぜか松本零士描く女性の姿と猫の姿が描かれていました。

豊田有恒「改体者」

 亜高速航行を続ける一隻の宇宙船。その中にはヒトリのサイボーグが生き残っていた。その船に近づくもう一隻の宇宙船。彼を待ち受けるのは・・・・・・。

 最後の場面にちょっと笑ってしまいました。えっ、急に漢文?ちょっとそれは説明が苦しいのでは?と僕には感じられましたが・・・・・・。

河野典生「美しい芸術」

 二十一世紀の観光地トウキオ――壊滅した古都の跡に建設された新都市には〈新しい芸術〉があった!(キャプションより)

 うーん、実験的?自註をつけていたり、未来社会の独特な様式を描いていたり、新鮮な作品ではあります。ただし、そうであれば最後の章は余計な気もするし・・・・・・。なんだか複雑な気分にさせられる作品。一言でまとめるなら「よくわからん」。

ハーラン・エリスン「“悔い改めよ、ハーレクィン!”とチクタクマンはいった」"Repent,Harlequin!" Said the Ticktackman

 時間を正確に守り、秩序が尊ばれる世界。チクタクマンと呼ばれる時間を統御する男が人々の時間をスパイし、奪い取り、支配する世界。そこにハーレクィン――道化師が現われた!

 何度読んでも素晴らしい。オールタイムベスト作品。道化という存在はどうしてこうも人をひきつけるのでしょう。寓話的作品であり、SFの極みであると思います。

筒井康隆「馬の首風雲録」

 最終回です。SFマガジンでの初長篇、ついに終了です。

総評:ベストはエリスンの作品。何度読んでもいいもんはいい。日本作家の作品は、ある程度の満足を与えてくれるものの、やはりどこか弱いかなという感じ。
 人気カウンターは1「冷たい方程式」2「人間そっくり」3ガン「あなたとならば何処までも」4「馬の首風雲録」5ディクスン「愛想のいいやつ」次点「いなかった男」でした。
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光瀬龍 SF作家の曳航

  • by ヌル
  • 2010/01/11(Mon)14:05
  • Edit
こんにちは、A・T様。
このSFマガジンは、以前僕が紹介した年号ですね。いろいろ面白い記事があったでしょう?
『シンシア遊水池2450年』は、人間とサイボーグの悲恋を描いた作品ですね。実際、サイボーグの製造が可能になったら、このような悲劇も有り得るかもしれません。
『アンドロイドお雪』は、平井氏の作品では結構好きな作品です。結末は本当に意外でしたね。

光瀬氏で思い出したのですが、去年、『光瀬龍 SF作家の曳航』という自伝風エッセイを購入しました。
光瀬氏の幻のSF処女作『タイタン六世』や、戦時中の東京を舞台にした時間もの『帝都上空に敵一機』、SFマガジン誌上に発表された最後の作品『暁の砦』など、単行本未収録の作品が目白押しです。また、ユーモアたっぷりの自伝も収録されています。
結構高額ですが、興味があったら是非一読を。
それと、同じ光瀬氏の傑作ジュヴナイルの『夕映え作戦』が漫画化され、『COMICリュウ』という漫画誌で連載中です。こちらも単行本が二冊出ているので、宜しければ、どうぞ。

ではまた。

Re:光瀬龍 SF作家の曳航

  • by A・T
  • 2010/01/15 22:20
 光瀬作品は単行本では一冊も読んでないのですが、挑戦してみたいと思います。
 『COMICリュウ』は梶尾真治の『思い出エマノン』を鶴田謙二がマンガ化していたのと、吾妻ひでおが連載するというので創刊号から数号は買っていました。『夕映え作戦』はまず原作から読んでみたいと思います。

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