野田宏一郎「SF実験室⑨空想未来歴史学」
SF作家の未来予想。この1966年くらいは、どう予想されているか?というお話。
☆
筒井康隆「カメロイド文部省」
カメロイドは地球型惑星だったが、少し違った――ちょっとの違いが大きな違いであることがあるような意味で!
筒井さん、のってます!やっぱり、カメロイドの文部大臣からの手紙が抱腹絶倒です。ラストシーンもすごいと思います。
△
ディノ・ブツァッティ「戦艦の死」
降伏寸前のナチスドイツが秘密裏に建造した幻の超弩級戦艦〈死〉の全貌、ここについに公開さる!初めてご紹介するイタリアSF!
うーん。秘密建造された最終兵器というのは、この時代にはリアリティがあったのでしょうか。僕にはちょっとよく楽しみ方がわからなかった。
○
ジェイムズ・E・ガン「泡の女」
味も香りも、文句なしのビールができた。ただ問題は、コップにつぐと、アワが盛り上がって裸女の形になることだった!
うん、面白いファンタジイです。非人間にひかれる物語というのはすきなのですが、最後もそんな願望にふさわしく、ハッピーエンドでよろしいんじゃないでしょうか。
○
久野四郎「五分前」
予知能力を持っていると、もしあなたの友だちがいっても、うっかり羨まないほうがいい。たとえばこんな話がある・・・・・・
ふつうのお話ですが、なかなかツボをついていていいです。
○
草下英明「暗殺者」
アンドレイ・クザコフこと草下英明氏のユニークな科学評論はすでにお馴染みですが、ここに登場するのは氏の多才ぶりを示す異色SFです
暗殺のお話です。バリアーが核になっていますが、いくつかのSFアイデアがあって、そのぶんは豪華です。
特別掲載 二つのレム会見記
うーん、作品をあんまり読んでいないせいか、そこまで面白くない。本人は「ソラリス」がお気に入りなようす。
SFスキャナー
ハインラインの児童SFについて。
石川喬司「SF DETECTOR」
筒井康隆「48億の妄想」刊行。絶賛。
さいえんす・とぴっくす
七個のすい星が地球に衝突(米)一千万年に一個だそうです。
○
ジャック・ヴァンス「海への贈り物」
その白い半透明の触手に、海中へ引きずりこまれようとしたとき、彼は仲間の消えた原因を悟った。だが、その生物は・・・
ヴァンスです。ちょっと、期待しすぎていたので、○ですが、やっぱりしっかりした面白さがあります。手旗信号のようにコミュニケーションをとる様子がなんだかかわいらしい。ジョージ・R・R・マーティンはヴァンスのファンだそうですが、この作品はタフシリーズの守護者に似たところがありますね。
小原秀雄「SF人類動物学②二〇世紀のホモ・サピエンス」
人類はほかの動物にとっては害獣だよなあと思いました。
大伴昌司「トータル・スコープ」
『二〇〇一年、宇宙の旅』クランク・イン。『都と星』『宇宙への序曲』『宇宙の島へ』『太陽系最後の日』を再構成した壮大な宇宙叙事詩であるとのこと。そうだったのか。
○
豊田有恒「ゲーム・オン・ザ・ロック」
信じようと信じまいとそれは読む人の自由。ぼく自身にも真実性に自身はないが、まあ、とにかく読んでみてください。
超能力もの。小松左京氏のものに、同じようなものがありましたね。女性はこわいという男性の心理が表れた作品ですね。
○
リチャード・マティスン「機械の兄弟」
彼は歩きつづけた。機械の人間と、生身の人間との行き交う街の中を。人間らしく死ぬ自由を、ただそれだけを求めて!
題名ですでにネタバレですが、小説の中の描写が未来社会をきちんと描こうとしていて、その上でテーマに踏み入っているのが好感度が高いです。こういうオプティミズムな作品は好きですね。そして、ロボットという疎外された存在に、僕は感情移入してしまいがちなことにも気づきました。
○
ジェイムズ・H・シュミッツ「トラブルはごめんだ」
その醜悪な生物のインタビュウは、ごく短時間でおわった――ただ、だれひとり予期しないかたちではあったけれども・・・・・・
こういうラストは好きですね。どうにも解決しようもない。そのぶんだけ、痛みや不安が倍増して、ホラーな雰囲気を余剰に漂わせる。すてきな宇宙生物を描く作家です。
光瀬龍「百億の昼と千億の夜」
エレサレムのところ。
総評:ベストは「カメロイド文部省」。傑作です。もう傑作ばかりですね。シュミッツやヴァンスなどの大家は、期待が大きいだけに、少し平凡にすぎるかなあと思ってしまいました。ガンの作品は独特の雰囲気があって、なかなかよかったです。
人気カウンター順位①百億の昼と千億の夜②時間泥棒(シェクリイ)③危険な関係(ワイマン・グイン)④秘密6号(ヴォクト)⑤世代革命(生島治郎)。うーん、シェクリイはやっぱり人気あります。ウィットに富んでいておしゃれな感じですよね。「危険な関係」は地味さが災いしたと編集部の人は分析していますが、三位になっているのを考えると、すごく評価しているみたいですね。確かに福島氏が志向するハイブロウなSFに近いんじゃないかと思いました。
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