○
『悪魔と坊や』
ハービー坊やは奇術師の手品を見破ろうとして、ステージに上がるのだが・・・・・・。
なかなか面白かった。坊やのやったことと、日常生活の乖離が面白みを引き立ててますね。
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『死刑宣告』
アンタレスの第二惑星で重大犯罪を犯したチャーリーは、死刑宣告を受けたのだが・・・・・・。
こういう起死回生のオチというのは、ショートショートの醍醐味です。オチは読めたけど、よかった。
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『気違い星プラセット』
太陽が二つあり、その中を八の字に飛ぶ惑星プラセット。地球政府の職員である「ぼく」はこんな狂った惑星になどいたくない、と辞意を表明するが、そこへ、自分の教え子である美人の女の子が部下としてやってきた・・・・・・。
可視光線が音速とほぼ等しくなる上に、幻覚まで見えるというまさにクレイジーな惑星。いやあ、面白い。
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『非常識』
息子の部屋にあった雑誌のことで、夫は妻を叱った。
なかなか面白かった。こういう自虐は好き。
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『諸行無常の物語』
新聞印刷用のライノタイプが、ある男に操作させたことによって、壊れてしまった。そいつは、勝手な文字を印字し始めて・・・・・・。
なかなか面白いですね。もう少し、なぜこうなったのかの叙述があれば、楽しめたかもしれません。しかし、生きている機械の躍動感みたいなのが感じられていいです。
○
『フランス菊』
マイクルスン博士は夫人を実験室に案内し、草花との通信の実験を見せるが・・・・・・。
ブラックです。しかし、そこまでしなくても・・・・・・。
◎
『ミミズ天使』
結婚を間近に控えたチャーリーはある朝、ミミズに羽の生えたミミズ天使を目撃する・・・・・・。
面白かった!メタフィクション的で面白いですねえ。ミミズ天使という発想も面白くて、ちょっとぶっ飛んだ感じがしていいです。これは完全にファンタジイの部類ですね。ただ、日本語ではわからない部分もあったので、最高級評価にはしにくい作品です。でも、それくらい面白かった。
○
『大同小異』
宇宙から巨大な生物が侵略してきた。しかし、彼らは人類のことを気にする様子もないが・・・・・・。
なかなか楽しい。しかし、少しブラックな味もしますなあ。
△
『ユーディの原理』
チャーリーの発明したものは、ユーディの原理で動くという。ユーディとはいったい誰?
うーん。紋中紋は好きなんですが、これは落とし方が微妙かなあ。加速装置の作用や理屈は面白いのだけれど。
?
『探索』
ジョンは天国へと迎え入れられたが・・・・・・。
わからん。二度読み返したけど、よくわからん。
○
『不死鳥への手紙』
十八万年もの時を行き続けてきた男の文明批評。
面白かった。最後のオチも気づいていたけどよかった。十八万年ですよ?超兵器ですよ?面白くないわけないです。
○
『回答』
多数のコンピュータを接続して銀河系の知識をすべて結合させようと試みた。そして、コンピュータが質問に答えた言葉とは・・・・・・。
これはアイデアが秀逸です。こういうお話、好きだなあ。
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『帽子の手品』
ダブルデイトの後、エルジーのスタジオで四人は過ごすことになった。そこで、手品が始まったが・・・・・・。
うーん、なんともいえない作品ですね。ただ、オチの付け具合がよかったかな?
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『唯我論者』
ウォルター・B・エホバは唯我論者だった。あるとき彼はなにもかもが嫌になり・・・・・・。
これも、好きだなあ。すべてを覆したり、破壊したりしてしまうお話は大好きです。
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『ヴァヴェリ地球を征服す』
ラジオ局に勤めているジョージ・ベイリイは、ラジオがモールス信号を流し出したのに気づく。それは宇宙空間のどこかから跳ね返ってきた、すごく昔の電気信号らしいのだが・・・・・・。
電気を奪われてからの生活の様子が面白いです。蒸気機関が主流になったり、テレビがなくなったことで、人間相互の関係が密接になったり・・・・・・。こういう、SF的事件がおきて、その社会的な影響をきっちり描かれている作品が僕は好きです。
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『挨拶』
金星人は地球人との交流を拒否していた。一人の心理学者が友好関係をもとうと再びでかけるが・・・・・・。
ちょっと笑いました。こういう異文化交流ものも大好きです。
総評:めくるめくアイデアの競演という感じです。どれも面白かった。ベストは『ミミズ天使』。群をぬいた面白さだと思います。
胡椒のピリリときいたポテトチップスのような味だと思います。ポップだけど、ちょっと毒があって、スパイシー。
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