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SF読もうぜ(155) 『SFの時代 日本SFの胎動と展望』

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石川喬司によるSF評論書


 第一章は「作家論のためのノート」。第二章は「SF・夢の文学」。第三章は「時評」。

 第一章はハヤカワSFシリーズの解説からひいたもの。「SFランド」の文章が面白くて、「星新一や矢野徹がルートを拓き、小松左京が万能ブルドーザーで地ならしをし、光瀬龍がヘリコプターで測量し、眉村卓が貨物列車で資材を運び、筒井康隆が口笛を吹きながらスポーツカーを飛ばし・・・・・・」というもの。筒井さん自身はそんなに楽じゃなかったとおっしゃってますが。一応、全部目を通しましたが、けっこう全員に興味がもてました。

 第二章は日本の古典から始めて、SF的な物語を抽出しようという試み。「戦略的SF論」では主流文学としてのSFというような論じ方がされていて、興味有。また、『SFマガジン』誌上で起きたハインライン『宇宙の戦士』についての論争など、実に興味深く読みました。

 第三章は「同時代の記録」という副題が示すとおり、当時のSF評論を載せて、同時代の雰囲気が感じられていい。特に『SFマガジン』の60年代を読んでいる僕にはなかなか面白かったです。当時のSFの偏見との戦いなどが見られてよかった。

 いろいろ読んでいて読みたくなった本をメモ代わりに列挙。

 沼正三『家畜人ヤプー』『空想科学小説についての対話』なんでもこれはマゾヒズム的見地からSFを論じているそうです。 中井英夫『幻想博物館』 アイラ・レヴィン『この完全なる時代』 ピアズ・アンソニイ『蝿の戦士』 H・G・ウエルズ『神々の糧』 イタロ・カルヴィーノ『木のぼり男爵』 エリック・フランク・ラッセル『超生命ヴァイトン』 渋沢龍彦『夢の宇宙誌』
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