砂州に閉じこめられたロークァル・マルのやるせない絶叫を、磯波のとどろきがかき消した。シロナガス鯨の有機体と高度の機械装置がたくみに結合された、全長600フィートに及ぶ巨大なサイボーグ漁船―――ロークァル。だが、海洋汚染によって海が死に絶えた時、地球社会は彼女を見棄てたのだ。死にかけた彼女から最後のエネルギーを送りこまれた小型探査機〈三葉虫〉は、七つの大洋をめぐる果てしない旅にでた。もう一度人間を捜しだし、ロークァルを甦らせるために・・・・・・。まったく異質な未来社会と文化を、奔放な想像力と詩的な筆致をもちいて見事に描きあげた海洋冒険ロマン!