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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

モラトリアム

   

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SF読もうぜ(204) ブルース・スターリング編『ミラーシェード』

 すべては1984年に始まった。ウィリアム・ギブスンの『ニューロマンサー』が発表され、英米SF界に〈サイバーパンク〉の嵐が吹き荒れはじめたのだ。テクノロジーとメディアの驚異的な発展が、人間そのものを変化させてゆくという認識のもと、才能ある若手作家たちがぞくぞくとサイバーパンク運動へと参加してゆく。運動の輪はSF界以外にも広がり、今もなおホットな議論をまきおこしている。そして今、現在進行形のこのSF革命の最前線から、一冊のレポートが届けられた――ギブスン、スターリング、ベア、ラッカーらの傑作を結集したサイバーパンク・ショーケース登場!
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ホラーに辻褄はいらない 伊藤潤二『死びとの恋わずらい』

img148.jpg 生まれ故郷の霧深い町に戻ってきた龍介には、ある悩みがあった。龍介が子どもの頃、辻占いにやってきた女性にひどい返答をしたために、その女性が自殺してしまったのだ。しかも、その女性が自分が思いを寄せている女の子の伯母だと知って、龍介は苦悩します。そして、町では辻占いが流行しており、「四つ辻の美少年」と呼ばれる謎の人物によって、暗い未来を予言された女の子が自殺する事件が相次いでいた。龍介は自分が関係した自殺事件がことの発端ではないかと思い、「四つ辻の美少年」を探し、町を彷徨するのだが・・・・・・。

SF読もうぜ(203) 小松左京『復活の日』

img147.jpg 人類に明日はあるか・・・・・・。BC(生物化学)兵器として開発された新種の細菌、それは、ちょっとした偶発事故からでも、人類を死の淵に陥れる。
 ――吹雪の大アルプスで小型機が墜落、黒こげの乗員と部品や胴体の破片が発見された。この機には、秘密裏に開発された猛毒性を持つMM菌のカプセルを搭載していた。わずか摂氏5度でも気ちがいじみた増殖をはじめ、ハツカネズミが感染後5時間で98パーセント死滅!MM菌の実験データは冷酷に告げている。
 春になり雪どけがはじまると、奇妙な死亡事故が報告されはじめた・・・・・・。
 人類滅亡の日も刻一刻と近づく。著者最高のSF長編小説。

SF読もうぜ(202) 小松左京『果しなき流れの果に』

 N大学理論物理学研究所助手の野々村は、ある日、研究所の大泉教授とその友人・番匠谷教授から一つの砂時計を見せられる。それは永遠に砂の落ち続ける砂時計だった!白亜紀の地層から出土されたというその砂時計の謎を解明すべく発掘現場へ向かう一行だったが、彼らは知る由もなかった―――その背後で十億年もの時空を超えた壮大な戦いが展開されていようとは。「宇宙」とは、「時の流れ」とは何かを問うSFの傑作。

SF読もうぜ(201) 筒井康隆『霊長類南へ』

 毎読新聞の記者澱口は、恋人の珠子をベッドに押し倒していた。珠子が笑った。「どうしたのよ、世界の終りがくるわけでもあるまいし」その頃、合衆国大統領は青くなっていた。日本と韓国の基地に原爆が落ちたのだ。大統領はホットラインに手を伸ばした。だが遅かった。原爆はソ連にも落ち、それをアメリカの攻撃と思ったソ連はすでにミサイルを。ホテルを出た澱口と珠子は、凄じい混乱を第三京浜に見た。破滅を知った人類のとめどもない暴走が始ったのだ。

人生に食い込んだ本(その五)

 なんとなく短篇編。

井上ひさし『握手』

 
読み終わった後、数秒間呆けてしまった。真に感動を与えてくれるものに出会うと僕はそんな反応を示します。このお話はある孤児院の修道士のお話で、とても短いのですが、その感動度は限りなく大きいです。懐疑主義の現代人にとって、信仰はどうあるべきか。少なくとも僕はルロイ修道士のようでありたい。今、その信ずべきものを探しているところですけどね。講談社文庫『ナイン』所収。表題作「ナイン」も好きです。

大原まり子『書くと癒される』

 
題名を本文に直接つなげる、という技巧的な面から、最後の一行までほんとうに愛おしく読めました。大原まり子の新刊が読める、という期待感を裏切らないすてきな作品でした。大原さんの小説で好きなのはときどきハッとするような真実で読者を切り裂くような問いかけがあるところです。僕が好きなのは次のくだり。

 「自分を変えるか、それとも滅びるか。滅びるのは間違いなく自分の方で、世界の側ではない。自分が滅びたのちも世界は何食わぬ顔をして生き延びるのだと腑に落ちた。」

 そして、大原まり子の小説は時代を写し取っている。宇多田ヒカルや「ベルセルク」・・・・・・それらの単語が未来で古びないことは、同じく大好きな「処女少女マンガ家の念力」が証明している。それらも小説世界の一員として、しっかり自己主張しているのが好きだ。同じく「有楽町のカフェーで」も友人を待つ喫茶店で過ごすお話なのだが、そこには生き生きとした「世界」が描かれていて、ひとつのユートピアを形作っていると思います。そして、そうしたユートピアが描かれていればいるほど、それが崩れ去ることが悲しく、過去が愛おしい。「薄幸の町で」にはほんとうに泣かされました。精神的に不安定なパートナー、自由業(フリーターは自由業でしょうか?)の語り手など、「書くと~」とは様々な共通点があると思います。「書くと癒される」は光文社文庫『超・恋・愛』に、「有楽町のカフェーで」「薄幸の町で」はハヤカワ文庫JA『銀河ネットワークで歌を歌ったクジラ』に収録。

景山民夫『チキンレース』

 
オンボロのシトロエン2CVでバカな若者のスカ・G・Bとチキンレース。車のことは全然わかりませんが、やっぱり弱いもの、不利なものが、頭や技術を使って勝つというお話が僕は大好きなんで。判官びいきここに極まれり。判官びいきは現実にむくわれることはその構造上少ないので、こういった物語は超興奮します。車は楽しく乗ろう。講談社文庫『休暇の土地』収録。

江戸川乱歩『パノラマ島綺譚』

 
最初の方の自分に似た人間が・・・・・・もいいですが、やはり改造した島での耽美的な世界がもうなんともいえずに素晴らしい。特に海中の通路です。しかも人魚を泳がせる!美の地獄という感じで、もう、なんというか、うーん、たまらん!という感じ。鼻息荒く最後まで読み進みました。乱歩はほかに「陰獣」とか、「屋根裏の散歩者」とか、「心理試験」とか、すごいものが多すぎます。

森奈津子『悶絶!バナナワニ園!』

 
最初に森奈津子を読んだのは、たしか百合小説のアンソロジー、『カサブランカ革命』だった。大原まり子の小説が読みたくて購入したのですが、その前にこの小説にやられてしまった。「なんじゃ、こりゃー!」という衝撃がありました。『SFバカ本』に寄稿している人も何人か書いていたような気がします。とにかく、下ネタで笑うということがたまらなく好きな人にはオススメですね。こういうのを笑えるのはなかなか精神的にリベラルでなければできないことだと思いますので。ハヤカワ文庫JA『西城秀樹のおかげです』に収録。

志賀直哉『城の崎にて』

 
小説の神様、変な小説の次にすみません。とにかく、文学の読み方なんてわからなかった僕にこの小説の面白さを教えてくれた国語の先生ありがとう!いくつか出てくる虫や動物の生と死、それに自分を重ね合わせて観る志賀の淡々とした文章と視線に、人生のはかなさとか、そんなものが身内を襲ってくるのです。何回も読み直しているのですが、読むたびにしみじみ。ただ、志賀の小説はどれも味が薄いです。

梶井基次郎『檸檬』

 
ときどき、心が死にます。何も感じなくなるときがあって、楽しい本もマンガも音楽も、僕になんの効果ももたらさないことがあります。「えたいの知れない不吉な塊が私の心を始終圧えつけていた。」きっと、そんな気分を表した文章なのでしょう。妙に上品ぶっているものが憎くて、自分がなにかに疎外されているような気分になる。そんなものへの復讐として、檸檬を丸善に置いてきた梶井の気持ちが僕にはよくわかる。

 丸善の棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛て来た奇怪な悪漢が私で、もう十分後にはあの丸善が美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなに面白いだろう。私はこの想像を熱心に追及した。「そうしたらあの気詰まりな丸善も粉葉みじんだろう」

 この一文が僕にもなんとも爽快で、微笑ましく思えて、梶井にシンクロしてしょうがない。

アラン・シリトー『長距離走者の孤独』

 なんだか夢中になって読んだ覚えがあります。僕も中学生のときは陸上部長距離だったので。反逆精神の塊の少年の話なんですが、やっぱりゴール手前のシーンがなんともいえず、それを象徴しているシーンで、大好きです。ただ、ほかの作品がシーンは浮かぶけれど、どんな話だったのか、大筋が思い出せない。ほかのもまた読み返してみよう。新潮文庫『長距離走者の孤独』に収録。

筒井康隆『バブリング創世記』

 筒井康隆の恐ろしさを思い知った作品。読んでない方は一読をオススメします。驚愕。『フル・ネルソン』『上下左右』『デマ』『読者罵倒』などなど、ものすごい作品がちょっと思い浮かべただけでも目白押し。読むべし。

ハーラン・エリスン『「悔い改めよハーレクィン!」とチクタクマンはいった』

 
過激な物語というやつが好きで、反逆的で下品であればもっと好き。ハーラン・エリスンは好きな作品をたくさん書いてくれている。でも、実際に社会生活でこういう人には会いたくないような気もする。現代批判とかそういう建前的なものじゃなくて、自分の好きで信じたことをこの人は書いているような気がする。勝手な幻想かもしれませんが。とにかく好き。

 挙げればきりがなくなるのでこのへんで。内容は覚えているものの、題名を忘れているものがけっこうあります。こう書いていくと、読書傾向がバラバラですなあ。指向性がまったく感じられませんね。
 次はミステリ編か、随筆編になるでしょう。その後で映画とか漫画とかに入っていくと思います。

澁澤龍彦『幸福は永遠に女だけのものだ』

img145.jpg 「女に生まれたということが、女の幸福の第一歩なのである」。女性的原理について論じた表題作をはじめ、ホモ・セクシャリズムやフェティシズム、オナニズムを語る「異常性愛論」、有名女優をめぐる考察「モンロー神話の分析」等、存在とエロスを軽やかに読み解く傑作エッセイ29編!

人生に食い込んだ本(その四)

 と、いうわけで今回はSF編。自然、オールタイム・ベストの様相を呈します。

筒井康隆『虚構船団』

 すごいぜ!と心底思いました。なんせ文房具と鼬の戦争ですよ!純文学書き下ろしで刊行された作品ですが、究極のSF作品だと思いました。筒井さんの長篇では「美芸公」「脱走と追跡のサンバ」などが大好きで、何度も読んでいます。短篇はまた後で。

椎名誠『アド・バード』

 
やっぱり「コカ・コーラ」の広告がでるあたりが一番鮮明に記憶に残っています。変なロボットとか、変な虫とか、変なものがいっぱい登場するので嬉しかったです。椎名SFは「水域」や「武装島田倉庫」なんかも面白かったです。幻想的なものも大好きで、「胃袋を買いに。」なんかの短編集も夢中になって読んでいました。

小松左京『明日泥棒』

 
変な宇宙人がやってきて・・・・・・というようなお話なんですが、この頃教訓深い作品が好きだったので、最後のくだりがじーんときたんですね。人類は明日を泥棒してるんだっていう。こういう生真面目さが小松SFの魅力だと僕は思います。もちろん、バカなギャグもいっぱいあるんですけどね。『日本沈没』『首都消失』や『こちらニッポン』なども大好き。中学校の図書館で読んだ「青い宇宙の冒険」も記憶にありありと残っています。

高千穂遙『ダーティペア』シリーズ

 
大好きです。安彦良和さんの絵も素晴らしい!毎回壮大なラストで終ってくれて、非常に楽しいし、娯楽に徹しているところが美しいと思います。「あによ」とかああいう現代風(?)なセリフもいちいち可愛いですね。クァールのムギも大好きです。同傾向では東野司の「ミルキーピア」シリーズ、火浦功の「みのりちゃん」シリーズとか、ハヤカワJAはけっこう読んだなあ。岬兄悟の「ラブペア」シリーズなんかも読みました。

平井和正『超革命的中学生集団』

 なんか超能力ものの中でもパロディっぽくて、日常性の中にいるのがいいと思います。とにかく、題名が好き。永井豪の挿画も、これまたいい味だしてんですよねー。世界観が永井豪そのものですよね。しかし、「ウルフ・ガイ」シリーズを読んだときはびっくりしました。なんか思想がかたよっているなあ、と。

ウィリアム・ギブスン『ニューロマンサー』

 スプロール三部作は異常な面白さだと思います。一度読みかけたときは、意味がわからずに放り出したのですが、押井守監督と士郎正宗の『攻殻機動隊』を読んで、改めて読むと「うわー、すげー!」と衝撃でした。しばらくサイバー・パンクという1ジャンルにどっぷり浸かってました。『スキズマトリックス』も大好きだし、大原まり子の『ハイブリットチャイルド』も同傾向の作品として受け取った覚えがあります。映画では『ニルヴァーナ』とか『JM』ですね。ちょうど、『マトリックス』が公開される少し前でした。『マトリックス』ははまりまくって、DVDも全部揃えています。

ロバート・A・ハインライン『夏への扉』

 王道。なにか面白い本が読みたい、という友人があれば、この本を貸します。翌日、早起きしないといけないにも関わらず、あまりの面白さに途中で放り出すことができず、夜中の三時まで読みふけりました。ほんとうに超一級のエンタテイメントだと思います。ただ、あのいとこと○○するのはどうなんだ?と読んだ人といつも笑ってしまいます。

カート・ヴォネガット・ジュニア『猫のゆりかご』

 
諧謔に満ちた文章がとてもすばらしいと思いますね。伊藤典夫さんの翻訳のおかげでしょう。真面目でありながら、それゆえに皮肉めいた文章になってしまう作者の誠実性みたいなものがかいまみえるところがあって、それで僕は感動してしまうんです。ボコノンの教えは僕も実践しています。ヴォネガットのほかの作品では、『ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを』が好きです。キルゴア・トラウトが最高です。

フレドリック・ブラウン『火星人ゴーホーム』

 
たしか小学六年生か、中一の頃くらいに読んだと思います。ブラック・ユーモアの作品だと思うのですが、ウフフフフと読みながら心の中で笑っていました。ハヤカワ文庫の表紙の不気味な火星人の姿が今でも妙に印象に残っています。こんなやつらがいたらやだなー、と心底思いました。SF作家が語り手というのも王道でいいですね。僕は『発狂した宇宙』の数倍、この作品のほうに思い入れがあるなあ。

フィリップ・K・ディック『高い城の男』

 
すべての作品を読んでいるわけではないですが、ディックのベストは『虚空の眼』だと思います。けれど、感想載せているものをやってもしょうがないから、「高い城の男」です。思い入れもありますし。初めてディックを読んだのは『ユービック』かこの『高い城の男』でした。同時にマイケル・ムアコックの『この人を見よ』も読んだけど、まったく内容を覚えていません。中学生の頃でした。高い城の男は「日本やドイツが戦争に勝っていた」という設定のもとで、一人の作家が・・・・・・というお話だったと思います。世界の瓦解感というか、そういうものをディックの作品によって初めて知りました。それにしても『ユービック』の表紙は気持ち悪かった。

ダニエル・キイス『アルジャーノンに花束を』

 
泣きました!主人公の悲劇は現代人を痛烈に批判したもので、僕も生き方を少し修正しなければいけないんじゃないかと思いました。幸せっていったいなんなんでしょう?キイスはほかに短編集も読んでいますが、やっぱりベスト・セラーにもなった『ビリー・ミリガン』がすごいですね。実話ってところが・・・・・・・。「ダニエル・キイス読本」なるものも買いましたが積読です。いつになったら読めるだろう。

ブライアン・W・オールディス『地球の長い午後』

 
超弩級の興奮が脳を直撃しました。ツナワタリとかアミガサとか、植物の生態ももちろん面白かったけれど、反逆の主人公っていうのが、なんだかよかったです。なんだか、むわーっと植物が周囲を覆っているという状況が大好きです。「ナウシカ」なんかもそうですけどね。イメージがありありと浮かんでくる貴重な作品ですねー。

 最近読んだものを除外しているので、海外のものはすごく普通になってしまいましたが、まあ、やっぱりみんなが面白いといってるものは面白い、と。次回は短篇版になりそうです。

人生に食い込んだ本たち(その三)

 今回は子どもの頃、夢中になった本です。

江戸川乱歩「少年探偵団」シリーズ

 変態怪人二十面相との戦いに毎回息をのんで読んでいました。小学生にも乱歩のエロティシズムはなんとなく肌で理解できて、すごく淫靡でめくるめく世界というような感じでした。特に思い入れのあるのが、親にせびって買ってもらった『少年探偵団』。一番印象に残ったのは『蜘蛛男』かな。今でも図書館のどのあたりに置いてあったかがまざまざと思い浮かびます。以下に記す二シリーズとともに置いてありました。

コナン・ドイル「名探偵シャーロック・ホームズ」シリーズ

 むさぼるように読みました。小林司・東山あかね訳の分だったと思います。今思えば冒険小説に近いと思うのですが、とにかくきたお客さんが何者か一瞬で推理してしまうその明快さがすごいと思いましたね。シリーズに飽き足らず贋作ものなんかもよく読みました。ホームズの生涯を描いたベアリングールドのものとか、ホームズが女だった『我が愛しのワトスン』とか、ホームズがコカイン中毒でフロイトのもとに入院するニコラス・メイヤーの作品とか、そういう変な贋作のほうが好みだった。あと、コナン・ドイルは『失われた世界』がやっぱりめちゃくちゃ面白かったですね。そういやドイルの伝記とかシャーロック・ホームズ解析本とかにも手を出してました。

モーリス・ルブラン「怪盗ルパン」シリーズ

 ここまでは子どもの読書の三点セットみたいなものですね。ルパンの伊達男ぶりとか、小学生にわかるはずないような気がしますが、とても好きでした。予告状を出して盗みに入るという「泥棒の美学」というかなんというか、そういったルパン自身の自己陶酔に満ちた作品だなあと今は思いますね。ただ「怪盗対名探偵」のホームズを悪者にしすぎたのはいただけないと思いました。ドイルは断ったらしいんですけど、邦訳するときにむりやりホームズの名前にしちゃったみたい。なにはともあれ、この頃はポプラ社の児童ものにはたいへんお世話になっております。

那須正幹「ズッコケ三人組」シリーズ

 ハチベエ、モーちゃん、ハカセ、この三人組が各話でいろいろな目に遭ったりするのですが、一番好きなのは「あやうしズッコケ探検隊」。無人島漂流願望というのが芽生えました。子どもたちが自分たちの力で生活していっているのがカッコよく思えたんですね。とにかくホラーあり、ミステリあり、冒険あり、とヴァリエーションに富んだシリーズでした。単純に楽しかったです。那須正幹のものでは「お江戸の百太郎」とかああいったものも楽しかったなあ。

福永令三「クレヨン王国」シリーズ

 
この頃、青い鳥文庫が大好きでした。パスワードシリーズとか、キャプテンシリーズとかよく読みました。その中でも一番はまったのは「名探偵夢水清志郎事件ノート」。これは以前書いたので、今日は「クレヨン王国」シリーズ。なんといっても好きなのは、当時同じクラスの女の子にすすめてもらった「クレヨン王国 月のたまご」。全八冊なのですが、すばらしいファンタジーだと思います。大学生になってから読み返したりしたんですが、新たな感動がありました。挿画なんかもすばらしいですね。

赤川次郎「三毛猫ホームズ」シリーズその他

 小学五年生の頃だったかな?推理小説のガイド本なんかで、猫の名探偵がいるんだというのを読んでさっそく買いました。あの頃は文庫も安かったですし。ただ内容をあまり覚えていない作品が多いです。陣内孝徳が片山刑事役をやったドラマは非常にすばらしかった覚えがあります。赤川次郎はほかに九号棟シリーズや幽霊シリーズも好きでした。そういえば辻真先の「迷犬ルパンシリーズ」もけっこう読みました。SF大会のくだりのあるシーンがやけに印象に残っています。

横溝正史『獄門島』

 
とにかく角川の装丁が好きでした。なにか乱歩と通ずる淫靡さが横溝正史にもあると思います。金田一のキャラクターがすごく印象的でした。そして、ロマンあふれるミステリ、そしてホラーになっていますね。あの有名なセリフが今でも脳にこびりついて離れません。見立て殺人って、僕はミステリの王道だと思う。そういえばこの頃、キンキキッズの堂本剛主演の「金田一少年の事件簿」も毎週土曜日楽しみにしていました。ただ、小学生がこれに夢中になるのは今考えるとまずい気がする。『八つ墓村』『犬神家の一族』なんかも好きです。

綾辻行人『霧越邸殺人事件』

 
小学六年生の頃でしょうか。○○が○○だった!というのに非常に驚いたものです。そういうのもありなんだ!と見識が広がりました。館シリーズなんかもけっこう読みましたねえ。表紙の館の様子が、文庫版でも新書版でも、好きでした。やっぱり、本格としての美意識が気持ちいいんですよねえ。嵐の山荘って、やっぱり王道だよね!とか、なんとかいいつつ、一番夢中になって読んだのは『殺人鬼』だったりする・・・・・・。

 あとはエンデの「モモ」とか、ケストナーとか、海外児童ものもそれなりに読んでいますね。松本大洋挿し絵の「八月の金貨」とか、「9月0日大冒険」とかが印象に残っています。友達に借りた宗田理の「ぼくら」シリーズもけっこう読みました。あと、小学生のときの図書館の思い出といえば「はだしのゲン」ですねー。今でもトラウマです。核兵器絶対反対です。
 あとこの頃、父親の本棚から西村京太郎の十津川警部とか、やたら読んでますね。倉庫から爺ちゃんの日本文学全集持ち出して読んでいたりしたし。「坊ちゃん」とか印象に残ってますけど。なんかこうして記してみると、気持ち悪い小学生だな。

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