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SF素人が空想科学小説に耽溺するブログ。

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ミステリの森に迷う⑬ 栗本薫「絃の聖域」「ぼくらの時代」

昨年、島田荘司の御手洗潔シリーズにはまってしまい、久々にミステリ熱が再燃。
 ミステリ好きの中学生だった僕が当時読んだ好きな作品二つを久しぶりに読み返しました。

 「絃の聖域」は伊集院大介が初登場、そして、「ぼくらの時代」は栗本薫くんが初登場という作品です。二つの作品には、おなじみの山科警部が登場。両作品とも芸とテレビ界というある意味閉鎖的な世界で起こる世界を理解できず、警部は困っています。

 SF・ミステリー・ファンタジー・耽美小説・・・など、ボーダーを取り払い活躍した作家ならではの語り口や遊びがあってたいへん読んでいて面白かったです。
 例えば、

  バンド名が萩尾望都のマンガ『ポーの一族』
  ライブハウスの名前が「シャンブロウ」
  「ウルフガイ」「長髪族の乱」「光瀬龍」などの名前の登場

などSFファンにとっては楽しいのではないでしょうか。

 そして、中島梓として、評論家としても活躍した鋭い視線。特に「ぼくらの時代」では、親世代・その間に挟まれた世代・「ぼくらの」世代と人間を書き分けているのは、すごいなあと思ってしまいます。

 正直、「絃の聖域」の内容は同時期に読んでいるのにも関わらず覚えていなかった。冒頭のシーンには正直、中学生の僕はこんなものを読んでおったのかと思ってしまいました。対照的に「ぼくらの時代」は細部まで覚えており、特にラストシーンには思い入れがあり、読んだのは15年以上も前のはずなのに、よく覚えておるなあと自分に感心してしまったくらいです。と、いうより、この作品にそれだけの力があったということなのでしょう。

 両者ともミステリとしての力を持った作品でオススメです。読んでらっしゃらない方はぜひお試しあれ。今度は途中で挫折してしまったグイン・サーガでも読もうかな!
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SF読もうぜ(350) 井上ひさし「百年戦争」

ネコに変身してしまった小学生清くんが飛び込んだのは、銀座ネコVS.築地ネズミの大戦争の真只中だった。清くんは三毛のオスとしてネコ軍団を率いることとなり、同級生秋子くんも加わって大騒動。どうやらネズミ軍団の長も同級生の変身した姿らしい。彼らの変身劇には世界的陰謀が隠されていて事態は急変。(講談社文庫 あらすじ紹介より)



SF読もうぜ(349) 半村良「石の血脈」


 アトランティス、暗殺集団、赤い酒場、巨石信仰、狼男、吸血鬼、不死の生命…。この本を手に取ったあなたは、これらの言葉からどんな物語を想像するだろうか。失踪した妻を捜し夜の街を歩く建築家・隅田、展示場から消えたアトランティスの壷を追うカメラマン・伊丹。彼らの周囲には、次第に不可解な出来事が起こり始める。一見脈絡のない事象を縦糸に、男女の愛を横糸に紡ぐ、半村良の伝奇ロマン。(集英社文庫版あらすじ紹介より)

SF読もうぜ(348) シモン・ニューコム 黒岩涙香翻案「暗黒星」


 遥か未来の地球。化学は極められ、新しい発見は期待されず、ニュース記事の話題にも事欠く退屈な時代に、それの到来は報じられた。火星の生物から来た信号によって知らされたのは、暗黒星の接近だった・・・。

古典読もうぜ(1) 「桃山人夜話」


 江戸期に書かれた妖怪に関する絵本。

 ユーモラスであり、怖さはあまり感じない。どちらかというと笑えます。
 妖怪ごとにセクションが設けられており、説明が加えられています。言葉も平易でわかりやすいし、僕が読んだ角川ソフィア文庫の版では、現代語訳もつけられており、とても親切なつくりになっているのでオススメです。

 お気に入りな妖怪たちを挙げます。

 豆狸(まめたぬき)。これは見た目からインパクト大。例の八畳もあるアレの話です。八畳あるアレをお得意の変化で、部屋のように仕立て、そこで連歌を楽しんでいたところ、相手が煙草の火をそこに落としてしまい熱さでソレがしゅるしゅると戻ってしまったというお話、思わずニヤリとしてしまいます。

 旧鼠(きゅうそ)。どう考えてもダジャレです。ただただでかいネズミが猫を咥えている絵なのです。「窮鼠猫を噛む」でしょう?

 赤ゑい(あかえい)。島かと間違えて上陸したら化け物だったというスケールの大きさがよいです。

 寝肥(ねぶとり)。飛縁魔(ひえんま)。これは化け物というよりも、筆者というか時代の女性観が出ている妖怪です。ここに書くと差し障りが出そうなので、文字面から想像してみてください。

 小豆洗いなどのおなじみの化け物も登場する「こわい」よりも「楽しい」読み物であり、妖怪好きにはたまらない本となっていると思います。

泉鏡花「高野聖」(名作を読む①)


 旅の道連れとなった旅の僧は、寝物語に若い頃に経験した怪奇なできごとを語り出した。
 旅の商人を追い、深山に分け入った僧は蛭の出る不気味な森を抜け、そこで一人の妖艶な美女と出会う。

何度読んでもすばらしい 岩明均『寄生獣』

右手に寄生生物・ミギーを宿した泉新一はミギーと共に他の寄生生物と戦い続ける。”人間とは何か”を問う問題作。(講談社の作品紹介より)


SF読もうぜ(347) 夢野久作『ドグラ・マグラ』

鍵のかかった一室で目覚めた「私」。自分の顔をなでて感じるのは、「俺はコンナ人間を知らない・・・・・・」。ここは牢獄か、それとも精神病棟の一室か。思わずあげた「私」の叫び声に、コンクリートの壁の向こうから聞こえてきたのは哀切に満ちた「お兄さま」という若い女の声。その女が語るには、「私」はその女の婚約者で、結婚式前夜にその女を絞め殺したというのだ・・・・・・!

SF読もうぜ(346) 宮沢賢治「銀河鉄道の夜」

辛い境遇にある少年ジョバンニは、星祭の夜に親友カムパネルラとともに、銀河ステーションから旅に出る。銀河を走る鉄道旅の幻想的な美しさと生と死をめぐる悲哀を描いた物語。

SF観ようぜ(4) 「天空の城ラピュタ」

初めて「ラピュタ」を観たのは14歳のときだった。

 家族がカラオケに出かけた後、両親の部屋に置いてあるテレビを独占して、一人で観たのだった。しーんとした家の中、僕と映画だけの対話の時間だった。

 エンドロールの「君をのせて」が流れる間、映画に対して真摯な姿勢を見せないといけないと思ったのか、僕は畏まって正座をしていた。そんな気持ちになるのは小説以外では初めてで、宮崎駿という人の作品に僕は胸を撃ち抜かれてしまったのだ。

 あれから16年。30才になった僕は今まで何度も見返したはずの作品をまた見て、涙している。14才で観たときと同じように。作品の内容や魅力については今さら語るまでもない。活劇に手に汗を握り、気持ちのいい人たちや父親や好きな人とのつながりに涙し、悪役の狂気に背筋を寒くし(そして、どこか共鳴し)、文明という巨大なものに恐れおののく。小さな物語から、大きな物語まで、その美しさに心を囚われる。

 見た後に思わず興奮に囚われたまま、昔、コレクションしたパンフレットや「ロマンアルバム」「ジ・アート・オブ」をパラパラめくる。野田昌弘さんのインタビュー記事やフラップターの構想段階のイラストにレイ・ブラッドベリのサインが入っていたなどの情報にSFファンとして反応してしまう。この作品も僕のSF熱に火をつけたものの一つなのだ。僕という人間を構成する材料の一つにこの作品もなってしまっているのだ。

 ふと、ハイロウズの「十四才」という曲を思い出す。ボーカルの甲本ヒロトが十四才のときにロックンロールで受けた衝撃を「かもめのジョナサン」のジョナサンに語り掛ける形で回想するという歌詞だ。

 それは僕の心臓ではなく
 それは僕の心に刺さった

「ラピュタ」を観たときの僕の気持ちは、まさにこれだ。そして、この歌はこうくくられる。

 あの日の僕のレコードプレーヤーは
 少しだけいばって こう言ったんだ
 いつでもどんな時でもスイッチを入れろよ
 そん時は必ずお前 十四才にしてやるぜ

今日、僕は映画の時間の中だけ14才に戻って、そして、30才の肉体にまた帰ってきた。あの頃、夢見ていた自分とは程遠い。でも、誰になんと言われようと好きなものを大切にして、自分の感性を信じていこうと幼いながらに決めた人生の指針だけは、牙城を守れているんではないかと14才の自分に言い訳したい。だって、俺、まだ「ラピュタ」で涙できるんだぜ。

 僕にとっては単なる映画の一本ではなく、「宝物」といえる作品なのです。

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